【参院選】政治家の選び方は?投票する意味ある?元参院議員の渡邉美樹氏に聞いてきた

7月20日の投票を控え、「投票しよう」と呼びかける声が高まっています。でも、私たちの投票で“日本の未来を選べる”って、本当なんでしょうか? 岸谷蘭丸さんが、元参議院議員でワタミの会長兼社長の渡邉美樹氏を訪ねて聞きました。議員経験者だからこそ語れる参議院の役割、政治家の選び方とは? ※詳しくは動画をご覧ください ■議員を経験して見えた政治家の“しきたり” 実業家・インフルエンサー 岸谷蘭丸氏: 何年から何年まで議員をされていたんですか? ワタミ 渡邉美樹会長兼社長: 2013年ですから、今から12年前の参議院選挙に出て、当選して、2019年の任期満了までと。 岸谷:議員って職業としておすすめしますか? 渡邉:本当に志があって、やりたいことがあって、挑戦するにはいいと思いますよ。ただし、今の日本の体制からすると、かなり若くからやらないと上にはなれないよね。要するに“しきたり”があるので。 岸谷:昔ながらの日系企業みたいに、ちょっとずつ出世していって、年功序列でみたいな感じですか? 渡邉:そうそう、年功序列。あとは“派閥”。要するに仲間だよね。その人にどんな力があるとかないとか関係ないわけ。例えば、自分のことを言うのはなんだけど、一部上場企業まで作って1000億円以上の売上を上げて、そういう人がいたら使うべきだよ。 岸谷:どう考えても。 渡邉:そうだよね。だって経営のことを分かっている人は誰もいないんだから、あの中に。でも使わないんだよね。それはしきたりがあるからまだ使えないわけですよ。順番があるから当選1期はだめだということになるわけですよ。 ■参院選「政治家の選び方」をアドバイスするなら? 岸谷:今回の参院選って、どういうふうな見方をされていますか? 渡邉:僕は最低だと思っていますね。本当によくここまで落ちたなと。 今もう僕はもう財政破綻寸前だと思っています。にもかかわらずですよ、ここに来て「減税しましょう」「まずはお金を配りましょう」。 僕は政治に対して一番関心があるし、政治に参加したいんですが、今回だけは投票する場所がないですよ。全員お金をばらまくって言っているわけですから。つまり、どの党に投票したとしても日本は潰れていきますから。だからもうどうにもならないですね。ポピュリズムもここまでいけば、僕は国民に対して自業自得だと思います。 岸谷:そこまで悲観的なんですね。 せめて政策に対しての基準値ってどこだと思います?こういう政策をしているところがあったら個人的に好きだな、でもいいんですけど。 渡邉:政策は全てポピュリズムですから、政策についてはともかくは言えないだろうな…。ただ、政治家の選び方って僕はわかるんだけど、政治家で居たくない人、もしくは政治家でいなくても全然困らない人を選ぶべきですね。 政治家でいなきゃいけない人っていうのは政治家でいることが大優先なので、当然節をどんどん曲げます。「この間こんなことを言ったのに今度は違うんだ!」と驚くことばっかりですよ。でもしょうがないよな、あの人も生活がかかっているからな、と。でも、それは違うと思うんですよ。国会議員というのは。 岸谷:僕も今の会社で財をなして、「もう一生困らないな」ってなってから、都知事選に出たいなと。 渡邉:それがいいと思います。 ■政治を動かす“力”は誰の手に? 岸谷:都知事選に出たときって何が一番難しかったですか? 渡邉:(都知事選に立候補した)2011年は、僕は病院の経営もしていたんです。それから、学校の経営もしているわけですね。農業の経営もしてきて、この国というのは様々な既得権の中で規制だらけなんですね。だから僕は規制のない1つのモデルを作りたいなと。 でも今から思うと、都知事なんか何の力もないですよ。 岸谷:どこが力を持っているんですか? 渡邉:それが僕は6年間政治家をやってきた結論なんですよ。それは何かというと、国民が力を持っているんですよ。間違いなく。 つまり、なぜここまでポピュリズムに走るんですか?なぜみんな「原発をやめよう」ってあれだけ言っていたのに始めるんですか?それは国民の思いなんですよ。 原発を止めるよりも電気代を安くしたい。国の財政が悪かろうが何しようが、今自分の生活を楽にしたいという、この国民の総意が実は一番の力なんです。 だから、厳しい言い方をすると、国民のレベルまでしか政治というのはいかないので。 岸谷:つまり、どんなにやりたいことがあったとしても、「うん、それなら票が取れるね」とならないと絶対にやれない? 渡邉:そうです。 ■参院選で「投票するべき」理由 渡邉:あと、もっと暗い話もう1つしていい? 岸谷:お願いします。 渡邉:参議院はいらない。6年間僕は経験していて、これだけは断言できる。衆議院と参議院と全く同じことを繰り返しているわけです。同じことを委員会でやって、国会でやって、また委員会でやって、国会でやって、そのために膨大な手続きをかけるわけですよね。その価値は全くないですね。 岸谷:参議院はなくていい、今回の候補者は最悪だ、投票に行く意味を感じなくなっちゃいますね。 渡邉:いや、行くべきです。どんな意見でも、意見を出すことによって、部分最適の影響力を弱めることができます。これはとても大事です。(投票に)行かなければ行かないほど、部分最適の動きをしている支持団体の方々の強さが増してきます。それによって政治家に対する影響力も増してきます。そうすると、もっともっと部分最適の社会になっていくんですね。 彼ら(支持団体)の票が大事であっても、その支持団体による得票のパーセンテージが落ちてくると、だんだんでかい面しなくなるわけですね。 だから、どこであろうが投票するべきです。 岸谷:あみだくじで決めた政党であっても投票はするべきだと。 「民主主義って欠落があるよ」ってずっと言われていたし、絶対に欠落があるし、煮詰まるほど、どんどんどんどん格差は広がり、いろんなところでどうしようもなくなってくるものかなとも思うんですけど。 でも日本はあと10年、20年して、人口の比率もちょっとずつ変わってきて、緩やかに衰退したら、また上がってくるんじゃないかっていう気もしているので、愛すべき国のために投票には行こうと思います。本当に面白かったです。ありがとうございます。

もっと
Recommendations

[深層NEWS]参院選での偽・誤情報、古田大輔氏「党や候補者も反論した方がいい」

日本ファクトチェックセンターの古田大輔編集長とJX通信社の米重…

減税など財政拡大掲げる野党、長期金利上昇との関連性打ち消しに必死…与党は「無責任」と批判

参院選投開票を20日に控え、長期金利が上昇基調にあることを受け…

【参院選】支持層固め切れず…比例から見る“自民の課題”

参議院選挙の投票まであと3日です。各党の政策や課題を一気にフカボリ…

【参院選】年代別、どの党を支持? “支持政党なし”動きは

参議院選挙の投票まであと3日です。各党の政策や課題を一気にフカボリ…

三原じゅん子こども相「中抜き疑惑」に反論もまさかの失言、批判殺到

《そもそも中抜きするな前提がおかしいんだよボケ》【写真】「中抜…

参政党の神谷代表、連立相手は「共産党以外のその他全部」…次期衆院選後の政権入りに改めて意欲

参政党の神谷代表は17日、滋賀県米原市で記者団に対し、次期衆院…

参院選 20日に投開票…終盤戦、各党の情勢は?

20日に投開票が行われる参議院選挙について、選挙戦終盤の情勢分析を…

宮城・村井知事「事実を勉強した上で発言を」…参政・神谷代表の水道事業巡る発言に訂正と謝罪求める

宮城県の村井知事は16日、参政党の神谷代表が仙台市内で行った街…

「具体策がない」「本当に実現できるの?」…岐阜大の学生らが各候補の政策を分析し意見交換

岐阜大教育学部の有志学生でつくる「県若者の選挙意識を高める会」…

比例票狙い、石川に大物応援続々…選挙区候補いない政党も

20日投開票の参院選では、石川選挙区で候補者を擁立していない政…

loading...