不信任案を出すべきか出さざるべきか、悩める立民・野田代表…衆参同日選もちらつき与野党神経戦

 石破内閣に対する不信任決議案の提出を巡り、立憲民主党と政府・自民党が神経戦を繰り広げている。  立民内では夏の参院選をにらみ、提出して対決姿勢を示すべきだとする主戦論がある一方、政府が米国との関税交渉に取り組む中で政治空白を作ることは避けるべきだとの慎重意見も根強く、野田代表は難しい判断を迫られている。(伊福幸大、鷹尾洋樹)  「もし本当ならば、(不信任案提出の)一つの判断材料にはなる」  不信任案が提出された場合、石破首相が採決を待たずに衆院を解散する選択肢が浮上していると報じられたことを受け、野田氏は3日の党会合で、こう強調した。  野党で提出に必要な51議席以上を持つのは立民のみで、衆院が少数与党の状況下で野党が一致すれば可決に持ち込める。可決されれば、首相は衆院解散か内閣総辞職かの判断を迫られる。状況によっては衆参同日選になる可能性もあり、野田氏の悩みは深い。  野田氏は、首相の商品券配布問題が発覚した今年3月、「いつでも(提出の)可能性が出てきた」と意欲を見せたが、米国の関税問題が浮上すると、「国難という状況で(退陣や衆院解散で)政治空白を作らせることが責任ある態度かどうか」と慎重姿勢に転じた。  政府・自民が解散論でけん制を強める中、立民内では「野田氏は提出に向けて一歩踏み込んだ」との見方も出ている。  日本維新の会と国民民主党は立民の対応を注視しており、国民民主の玉木代表は3日の記者会見で野田氏に提出を迫った上で、「(石破内閣は)やすやすと信任できない」と、提出された場合には賛成することを示唆した。維新の前原誠司共同代表も「首は取れるときに取りにいかなければ、取ることはできない」と述べている。  不信任案の可決には、少なくとも両党から賛成を得る必要があり、野田氏は今後、関税交渉の進展具合や他の野党の動向などを総合的に見極めて提出の要否を判断するとみられる。野田氏周辺は「各党の思惑が複雑に絡みあい、判断は難しい」と語った。  一方、自民の鈴木総務会長は3日の記者会見で、「不信任案が可決されれば、国民に堂々と信を問うべきではないか」と語った。  もっとも、首相は衆院を解散して政治空白を作ることには慎重だ。不信任案への対応について、自民の森山幹事長は記者会見で「首相が適宜適切に判断される」と述べるにとどめた。

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